遺言とは、ご自身がお亡くなりになった後に遺言者の意思を実現し、相続争い(争族)を防ぐことを目的として遺言書を作成することですが、その最後の自己実現である遺言書が無効になるケースがあることをご存じでしょうか?今日はせっかく残る家族のことを思って書いた遺言書が無効にならないための対処をご紹介します。
【自筆証書遺言と公正証書遺言】
遺言の方式には普通方式と特別方式があり遺言種類は5種類に分けられます。ここでは普通方式にあたる自筆証書遺言と公正証書遺言、それぞれの特徴や長所短所について上げていきたいと思います。
・自筆証書遺言とは
遺言者自身が自分で「全文」「日付」「氏名」を自署し、「押印」して作成します。作成に公正証書遺言と違い、特別な費用が掛からないので比較的に作成のハードルが低いと言えます。
・公正証書遺言とは
公証人と証人2人の立会いの下に公証人が作成した遺言書を読み上げる内容を遺言者が確認して間違いがなければ遺言者、公証人、証人がそれぞれ署名・押印をして公証役場で作成されます。
自筆証書遺言のメリット
- 手軽に作成でき、書き直しも容易にできる
- 作成費用が掛からない
- 公正証書遺言と違って証人が不要
- 法務局の遺言書保管制度を利用することで「検認」や「偽造・変造」等のデメリットが解消できる
自筆証書遺言のデメリット
- 遺言書の形式が要件を満たしていないと、遺言が無効となる
- 紛失や、遺言書の存在自体を遺族が忘却する恐れがある
- 遺言書が勝手に書き換えられるなど偽造・変造される恐れがある
- 遺言書を相続人が勝手に開封してはならず、家庭裁判所で「検認」を受ける必要がある
公正証書遺言のメリット
- 公証人が作成することで、無効になる可能性が低い
- 遺言書は公証役場で保管され、紛失、書き換え、偽造・変造がない
- 家庭裁判所での検認は不要
公正証書遺言のデメリット
- 公正証書の作成に手数料等費用がかかる
- 公証人との打ち合わせや、財産の資料収集など準備に時間と手間がかかる
- 証人を2人選定する必要と、人選に条件がある
【まとめ】
このように自筆証書遺言と公正証書遺言の特徴と合わせて、メリットとデメリットを書きました。自筆証書遺言の保管制度が始まる以前はどちらかと言えば、デメリットがクローズアップされていましたが、同制度を利用する際に遺言の形式ルールのチェックを受けることができまた、遺言者の死亡時に遺言の存在が通知されることや「検認」自体が不要となるので、以前のようなデメリットが強調されることは無くなってきていると思います。
公正証書遺言に関しては従来通り、作成に手間と費用をかけて(遺言書作成のプロに相談しながら)作成するため将来、遺言の内容が確実に実現される可能性が極めて高いと言えます。
これらのことを勘案して、ご自身に見合う方式で遺言を作成し残るご家族や、お世話になった特定の人に対して遺産を残す準備の参考にしてみてはいかがでしょうか。
無効にならないような遺言書の書き方についての、詳しいhow-toについては別の機会に紹介いたします。
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