農振除外

転用したい農地が農業振興地域の「農用地区域」に該当していた場合、農地法による転用許可を受ける前に農用地区域からの除外(農振除外)をする必要があります。この申請を「農振除外申請」と言います。


たとえば、農地である茶園を管理するための資材や肥料等を収納するためにコンテナを設置し、また農作業のための農業用機械や車両の駐車場が必要なため農用地利用計画変更を申請するための手続きに先立つ申請で転用したい農地が農業振興地域の「農用地区域」に該当していた場合、農地法による転用許可を受ける前に農用地区域からの除外(農振除外)をする必要があります。この申請を農振除外申請と言います。

農業振興地域とは?

「農業振興地域」とは、総合的に農業振興を図るべき地域とされ、都道府県知事が国の定める「農業振興地域整備基本指針」に基づいて指定された地域です。

農用地区域とは?

農用地区域とは、農業振興地域内における集団的に存在する農用地や、土地改良事業の施行にかかる区域内の土地などの生産性の高い農地など、今後、相当期間(概ね10年以上)にわたり、農地として利用すべき土地として指定された区域です。この区域内にある農用地は通称「青地」と呼ばれ、農業以外の目的(住宅、商業施設、駐車場、資材置場等)への転用は、農業振興地域の整備に関する法律(農振法)および農地法によって厳しく制限されています。

農振除外申請

農用地区域内の農用地(青地)に指定されている土地を住宅、資材置場などへ転用しようとする場合は、農用地からの除外手続きが必要となります。これを農振除外申請(申出)といいます。
つまり、農用地区域内の農地(青地)は農業振興地域から除外してもらわなければ、農地転用ができないということです。

農振除外申請の要件

  1. 農用地区域以外に代替すべき土地がないこと
  2. 除外により、土地の農業上の効率的かつ総合的な利用に支障を及ぼすおそれがないこと
  3. 除外により、効率的かつ安定的な農業経営を営む者の、農用地の利用集積に支障を及ぼす恐れがないこと
  4. 除外により、農用地区域内の土地改良施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがないこと
  5. 土地基盤整備事業完了後8年を経過しているものであること
    上記すべての要件を満たす場合に限り、除外が可能となります。

農振除外の申請先と申請時期

除外したい農地が所在する市町村の農政課や農林課が窓口となっています。農業委員会ではないので注意が必要です。また、農振除外は当事者が申請しなければならいと定められています。
市町村によって期間は異なりますが、農振除外の受付は年に数回(2回~4回程度)しかなく、しかも受付から締め切りまで10日しかない場合もあるので、除外についての申請計画は入念に行う必要があります。

農振除外申請にかかる期間

申請の締切日からOKが出る農振除外の決定通知が交付されるまで、半年から1年ほどかかります。実際に農地転用する場合は、この農振除外が通ってから転用許可申請をすることになりますから、転用許可まではさらに5~6週間程度が必要となります。


農用地区域の変更を内容とする農用地利用計画の決定に当たっては、関係権利者の意向を反映させるため、農用地利用計画案を公告し、30日間縦覧するとともに、15日間の異議申出期間が設けられています。また、農地転用を伴う場合は、農地転用許可処分との整合を保つため、事前に転用許可権者との調整を図ることとされています。

申請までの手順

申請については以下の流れで進めていきます。

除外が可能か確認する

対象の農地が除外できる可能性があるかを確認します。そのうえで、なぜその農地を除外したいのか目的が合理的に説明できるか、他に手段はないかなどの除外の可能性について確認していきます。また、除外には他部門の許可(開発許可等)も必要なる場合があり、関連する許可などを確認し、担当部門へ許可を得られる見込みがあるかを事前に確認しておきます。

申請書類の作成

農用地利用計画変更申出書
隣接農地同意書
農用地利用計画変更同意書
農地転用計画概要
位置図、字図、土地謄本、建築物の平面、立面図
資産証明(家族全員分) 資産がない場合は無資産証明
誓約書、経緯書
委任状
代替地検討表

などが必要書類となり、揃った段階で自治体の農政課などに提出しますが申請は年に数度の受付で、期間も定められています。申請に間に合わないと、次の申請期日まで相当の期間が空いてしまいます。

【 まとめ 】

農地を転用して、宅地や駐車場、資材置き場などに転用する場合その農地が農業振興地域の「農用地区域」に該当していた場合、農地法による転用許可を受ける前に農用地区域からの除外(農振除外)農振除外申請(申出)してもらわなければ、農地転用ができないということについて解説してきました。


申請は本人が原則ですが、解説でも書きましたが申出書やそれに添付する資料を揃えるにはかなりの労力と時間を要しますので、まずは専門家である行政書士へ相談して進めてみてはいかがでしょうか。

⇩農地転用に係る農振除外についてのお問い合わせは

福岡市南区の「行政書士 MKリズム オフィスホームページ」へ