「遺産分割協議書 書き方 ポイント解説」 遺産分割協議書とは~

遺産分割協議書は、相続人同士が遺産の分割に関して合意を形成するために作成する文書です。相続人が複数いる場合や遺産の内容が複雑な場合には、遺産分割協議書の作成が重要となります。逆に言えば相続人が一人しかいない場合には、遺産の「分割」について協議する必要が無いので遺産分割協議書は不要です。また、相続人全員が相続を放棄した場合も同様に作成は不要です。さらに、被相続人が残した遺言書があり、その内容に従って遺産を分け合う場合にも遺産分割協議書を作成する必要はありません。
今回は遺産分割協議書作成の必要性、書き方、流れ、提出先、相談先について詳しく解説します。

遺産分割協議書が必要となる理由(なぜ必要か?)

遺産分割協議書が必要となる主な理由は以下の通りです:

相続人が複数いる場合:相続人が2人以上いる場合、遺産の分割によるトラブルを避けるために各相続人の合意のもとで行うために遺産分割協議書が必要です。
遺産の複雑な内容:土地や不動産、企業などの資産が含まれる場合、遺産分割の手続きが複雑になるため、協議書が重要となります。

遺産分割協議書の書き方

遺産分割協議書に記載する内容は

① 題名:「遺産分割協議書」などのタイトル
② 被相続人の表記:亡くなった方(「被相続人」といいます。)の情報
③ 前書き:相続人全員で協議し合意した結果を記載した書面であること
④ 本文:どの相続人がどの遺産を取得するのか等、具体的な遺産の分け方
⑤ 後書き:相続人全員による合意が成立した結果、遺産分割協議書を作成したという経緯や、作成通数などを
⑥ 日付、相続人の署名・捺印:最後に作成日付と相続人全員の住所・氏名を記載し、実印を押印

以上が記載の仕方になります。

遺産分割協議書の流れ

相続人の調査・確定:

遺産を相続する資格を持つ相続人を確定します。相続人の調査は、被相続人の生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本等を集めて行います。遺産分割協議が有効に成立するためには、相続人の全員で合意する必要があり、一人でも合意していない相続人がいる場合には、無効となります。調査で発覚した、まったく交流が無かった親族や被相続人の隠し子についても遺産分割の協議に参加することが大前提となります。

遺言書の調査:

遺言書が存在する場合はその内容を確認し有効かどうか、遺言書の中で遺産のすべてについて分配方法が指定されているか、などを調査します。被相続人が、遺産すべての分け方について指定した有効な遺言書を残しており、相続人がこの遺言書に従って遺産を分配する場合には、遺産分割協議書を作成する必要はなくなります。

相続財産の確定:

相続に含まれる財産や資産を漏れなく洗い出し、明確にします。後から財産が見つかると、その財産の分け方について再度、相続人全員で協議しなくてはいけなくなる可能性があります。

相続放棄の検討:

相続人が遺産を相続するか、放棄するかを決めます。負債が大きい場合などで判断を行います。

遺産分割協議:

相続人全員で協議を行い、遺産の分割方法や割合の合意があってはじめて有効に成立します。遺産分割協議を行う中で、「寄与分」や「特別受益」の主張がなされることがあります。

遺産分割協議書の作成:

遺産分割協議がまとまったら、相続人全員で合意した内容をもとに、遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書の提出が必要となるところ

遺産分割協議書の提出が必要となる主な場面は以下の通りです:

法務局:不動産の名義変更手続き(相続登記)
金融機関:預貯金の名義変更や解約手続き
証券会社:有価証券の名義変更
運輸支局:普通自動車の名義変更
税務署:相続税の申告

遺産分割協議書作成の相談先

遺産分割協議書の作成に関しては、相続専門の士業に相談することが重要です。弁護士、司法書士、税理士、行政書士などの専門家が遺産分割に関するアドバイスや手続きのサポートをしてくれます。

【 まとめ 】

遺産分割協議書は、相続人が遺産を公平かつ合意のもとで分割するために不可欠な文書です。相続人の調査・遺産の確定、遺産分割協議、そして専門家のサポートを得ることで、円滑な遺産相続手続きを進めることができます。公正な遺産分割を実現するために、遺産分割協議書の作
成と提出の重要性を理解し、遺産分割に関するトラブルを未然に防ぐことができます。

また、遺産分割協議書を法務局、金融機関、証券会社、運輸支局、税務署などに提出することで、遺産相続に伴う名義変更や手続きを円滑に進めることができます。

遺産分割に関するトラブルを避けるためにも、遺産分割協議書の作成は専門家のアドバイスを仰ぐことが望ましいです。相続専門の士業は法律や手続きに詳しく、公平な遺産分割をサポートしてくれます。

⇩「遺産分割協議書の書き方」についてのご相談は

福岡市の「行政書士 MKリズム オフィスホームページ」へ