「終活」を考えて生前に出来ることとは?

今回は「終活」について考えてみたいと思います。具体的には、人生のエンディングを考えて生前にできることに焦点を当て、以下のテーマを取り上げます。

①「終活」とは何か?

「終活」という言葉を聞いたことはあると思いますが「終活」とは、終末期の人生を前向きに過ごすために、生前に準備や計画をすることです。これは、自分や家族のために行うものであり、予期せぬ事態やトラブルを最小限に抑える助けとなります。

②法的な「終活」とは何か?(遺族が争族にならないために)

法的な「終活」とは、遺産分割や遺言書作成など、法的手続きを行うことを指します。遺産分割協議や遺留分を考慮した遺産の配分などは、家族や遺族間での争いやトラブルを未然に防ぐために重要です。法的な手続きを適切に行うことで、遺族が争族になるリスクを最小限に抑えることができます。

③遺産分割調停の実情(遺産分割協議が成立しないとき)

遺産分割協議が成立しない場合、家庭裁判所での遺産分割調停が必要になることがあります。遺産分割調停は、争いが生じた場合に関係者の間での妥協を図るための手続きです。司法機関の関与を受けることで、公平な判断を得ることができます。しかし、調停の審理期間の70%が1年以内ですがなんと30%が1年以上の期間を要しています。また、事件数自体も令和元年12,785件と平成21年より19%増え、審理に要する調停回数も6回以上が三分の一を占めることで、調停には多くの時間と労力を要することが判ります。そのようなことから争いを避けるためには、予め遺産分割協議を円滑に進めることが重要なことが分かっていただけると思います。

④遺産分割協議(協議が成立する場合)

遺産分割協議が成立する場合は、家族や関係者間での話し合いが中心となります。協議を円滑に進めるためには、相互の意見を尊重し、冷静かつ公平な判断を心がけることが重要です。相続人全員の合意により遺産分割の実行を行います。財産の内容により現物分割・代償分割・換価分割など具体的な方法で行います。

遺産分割協議は、家族の絆を保つためにも大切なプロセスです。

⑤生前にできること(遺言書作成;自筆証書遺言・公正証書遺言)

生前にできることとして、遺言書の作成が挙げられます。遺言書は、自分の死後に財産や遺産をどのように分けるかを明示するものであり、争いやトラブルを未然に防ぐ役割があります。自筆証書遺言や公正証書遺言の選択肢がありますので、自分の状況や希望に応じて適切な形式を選ぶことが重要です。

⑥遺留分に留意した遺言書とは?

遺留分とは、一定の法定相続人が法律上保証された最低限受け取る権利のことを指します。従って、遺言によっても奪えない権利ですがその割合は配偶者と子供が二分の一で、直系尊属だけが相続人の場合三分の一については保証された取り分となります(尚、兄弟姉妹には遺留分はありません)。

つまり、配偶者と子供二人がいる場合の遺留分は全相続財産の二分の一は確実に財産をもらう権利を有することになります(1億円の相続財産のうち、奥さんは2500万円二人の子供はそれぞれ1250万円 計5000万円このような計算で財産が保証されます)。

遺留分を考慮した遺言書を作成することで、家族や法定相続人に対して適切な配慮を行うことができます。遺留分に留意した遺言書は、争いやトラブルのリスクを低減するためにも重要です。

⑦生前にできること まとめ

「終活」とは、終末期の人生を前向きに過ごすための準備と計画のことです。エンディングノートを活用し法的な手続きを適切に行い、家族や遺族間の争いやトラブルを未然に防ぐことが重要です。遺留分を考慮した遺言書の作成で、終活の一環として生前に行うことができます。また、遺言に付言を設けることや公正な判断を尊重することで、家族の絆を守りながら、最後の人生を迎えることができるのではないでしょうか。

皆さんも是非「終活」について考え、生前にできる準備や手続きを進めてみてください。自分と家族のために、積極的に取り組んでいきましょう。「終活」は、人生の締めくくりを大切にするための貴重な活動です。