令和5年度 相続税・贈与税税制改正のこと、どちらを選択?

令和5年度(2023年)税制改正大綱

令和4年12月16日に公表されて、いろんなメディアや雑誌等で取り上げられて関心を持っている人は多いのではないでしょうか。
でも、少し複雑?で解説資料を読んだりYouTubeで見てもピンとこない方もいるのではないでしょうか(私がそうですから^^,)。
そこで、資料や税理士さんの解説を見聞きしたところで概要をお伝えします。

生前贈与加算の対象期間延長(暦年贈与取扱の改正)

相続開始前3年以内の相続人(≒相続又は遺贈により財産を取得した者)に対する贈与は、相続財産に持ち戻して(その贈与はなかったものとして相続財産に加算)相続税を計算しますが、その課税対象期間が3年から7年に延長されます。被相続人(亡くなった方)が仮に110万の贈与を3年分(330万円)について相続財産に組み入れていたところが、改正後は7年分(770万円)遡って相続財産へ組み入れて計算することになります。
この制度を多くの方が実践していると思われて、センセーショナルなニュースとしてとらえられました。
令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税から適用されることになります。

また、生前贈与加算の対象となるのは、相続人である子、配偶者、父母、祖父母、兄弟姉妹です(相続人以外の人に対して生前贈与を行った場合は、生前贈与加算の対象とはなりません)。
生前贈与加算は、亡くなった直前に駆け込みで生前贈与を行った場合に、課税逃れを防ぐための制度です。また、相続税の公平性を高めるための制度でもあります。

相続時精算課税制度の見直し

相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子または孫へ、2,500万円(累積でこの金額を超える額に一律20%の税率が課税)まで贈与税を納めずに贈与できる制度です。贈与財産は、贈与された時点では非課税ですが、贈与者の死亡時に相続財産と合わせて相続税が課税されます。
今回の改正では累積で2500万円まで非課税とその超えた分の課税税率は変わりませんが、相続時精算課税を選択すると毎年、110万円まで課税されないという非課税枠が設けられました。
相続財産に加算する贈与財産は現行では、”相続時精算課税制度を適用したあとのすべての贈与財産”ですが、改正後は相続時精算課税制度を適用したあとのすべての贈与財産(ただし年間110万円の贈与財産は除く)となります。

まとめ

暦年課税制度は年間110万円以下の贈与でも相続開始前7年以内の贈与は生前贈与加算の対象になり相続財産に加算します。一方で相続時精算課税制度は年間110万円以下の贈与は期間に関係なく生前贈与加算の対象になりません。
新しい相続時精算課税制度のメリットとしては、「年間110万円までは暦年課税のような生前贈与加算がない」「特別控除2500万円を使い切ってしまっても、毎年110万円の基礎控除を有効活用することができる」といったものが挙げられますが、逆に小規模宅地等の特例が使えなくなることやこの制度を使うと暦年課税制度に戻れないなど、いつ訪れるか分からない相続時期を想定して制度の選択タイミングなどを判断することはかなり難しく感じます。
これらの制度選択に当たっては、相続に強い専門家(税理士)に相談することをお勧めします。

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